我如古弥栄(がにく・やえい)の琉球歌劇。明治末から大正の初め、組踊、琉球歌劇などの形式で有力劇団の公演にかけられ大ヒットした。物語は、阿嘉の樽金(たるかに)が泊村の鶴(ちるー)に一目惚れし、その思いを歌に託すが鶴はラブ・レターを焼いてしまう(実は、焼いたのは一部で、鶴も樽金が好きだった)という設定。二人の思いは一度は通うものの、樽金は父の命により伊平屋島へ。かたや樽金に会えぬ鶴は死出の旅路へ。役を解かれた樽金が泊へ戻れば、鶴の葬儀は終わっていた…。「伊佐ヘイヨー」「伊集ぬ腰小(いじゅぬ がまく ぐわー)」「伊計離節(いちはなりぶし)」「述懐節(しゅっくぇーぶし)」などを使って物語が進む。「奥山の牡丹」の創作に影響を与えた作品としても知られる。
(出典:藤田正著『沖縄は歌の島 ウチナー音楽の500年』晶文社、Beats21.com)