アリサは、ただ単にヒット・シンガーとして1960年代から活躍している存在ではない。女性としての自由、女性とのしての尊厳をその歌に折り込み、時代を牽引した歴史的なシンガーである。
アナスタシアは今、そんな「21世紀のアリサ」に、最も近いシンガーとして注目されているのである。
「(そのように言われることは)とっても光栄に思ってる。嬉しいし、とても感謝してる。だって今までずっと私は、すごい変人(Freak)だとみんなに思われてたから。それを(アリサほか)彼女たちのような歴史的な人たちと同じように見てもらえるなんて、とってもエキサイティングなことだわ」
ぜったいメガネは外さない
歌がうまい、人も羨むような天性の"こえ"を持つということは、時に当人に「不幸」を呼び込むことになる。
アナスタシアもそうだった。声が大きすぎて、アルバイト先をクビになったこともある(自分では普通のつもりだったのに)。歌が上手すぎて(何をどう歌ってもハマるから)、下積み時代は扱いに困るような存在でもあった(これも、彼女の責任ではない)。
大器(常識外れ)であるがゆえに、歌手としてピタリとハマる場所がなく、業界に絶望し様々なアルバイトをしたこともあった。当時を振り返って彼女は「この先もし歌って食べていけなくなったとしても大丈夫。事務も出来るし、電話交換台だって使えるし、ヘア・サロンでも働いたし。ホステスとしてお客さんをテーブルでサービスすることも出来るし、チラシ配りも、エアロビのインストラクターだって出来るわ。どれも自分には全然向いてなかったけど、家賃を払ってシンガーとして続けていくために何でもやってたわ。」と語る。